児童書×宣伝×Web広告

ちょっと前から、Web広告を試してみている。

きっかけは、『神絵師のノート!』の売り上げがいまいちで、どうしたもんかな、と考えたこと。

はじめは内容について反省しようかと思ったんだけど、作品の内容については、結構自信があって。
正確には、
「児童文庫でヒット作をつくろう!」
という観点でいえば、根っこの部分から違ってるのはわかってるんだけど。
それは重々承知の上で、あくまで今回の目標は、
「子どものころの自分が読んだら、惚れられるものをつくろう!」
だったので。
その目標に対しては、ちゃんと書けたかなという自信はある。

ただ、子どものころの自分が、マスな層にいたかというと、
「いや、俺はつねに、クラスに気の合うやつは1人くらいしかいない、端っこ族だったよ?」
だし、
「子どものころの自分が、いまの児童文庫棚をチェックしているかといったら、絶対してないよ!」
という、至極あたりまえの事実はあって。

そもそも小説、嫌いだったしなー。
だから小説が好きな子の方へ向けて届けるべきだ、というのは、お仕事としては正しいんだけど……でも小説が嫌いだったあのころの自分に、好きになってもらうにはどうすればいいか? っていう考え方は、なくしたくもないんだよな~…と。

そうこう思い悩むうちに、
「じゃあ、どうしたら子どものころの自分に届けられたんだろうな…?」
という考えに至った。

すくなくとも、「書店の児童文庫棚」や「レーベルのサイトやSNSアカウント」に、自分はいなかったよなと。
そうした宣伝手法とはちがうルートをとらないと、届かない。

で、
「よし、ビラでも配ってみるか」
と、なった。


そんなわけで、Google広告を使って、以下のようなビラこと、バナー広告を配ってみたのであります。

バナー広告(神絵師のノート)
『神絵師のノート!』バナー広告
バナー広告(マインクラフト冒険記)
『ぼくたちのマインクラフト冒険記』バナー広告

で、以下、やってみた感想!

わりと楽しい!

自前でクリエイティブ(見出しとか説明文とか画像とか)を登録しておくと、Googleがランダムな組み合わせでそれらを表示してくれるんだけども。
ある程度、データが溜まってくると、Google側が、「この見出しは刺さってるよ!」とか「こっちは反応悪いよ!」とか、評価を出してくれて、これが結構おもしろい。

アセットパフォーマンス(画像)
画像
アセットパフォーマンス(説明文)
説明文

評価を受けて、つっこんで考えてみると、
「ああ、たしかにこのフレーズは、なんか言ってること曖昧かもな」
とか、
「こっちの角度から押し出すと興味持ってもらえるな」
とか、いろいろ考えられて。
作品の魅力を外側から考えるときの、練習になるような感じがしてオモシロイなと
(結構ころころ評価が変わるので、あまり真に受けてもいけないと思うけど)

あと、広告を表示する「場所」はもちろん、表示する「ユーザ層」もある程度、指定できるんだけど(Googleはユーザの趣味嗜好を知っているのだよ…)。
反応のいい/悪い、場所やユーザ層のデータを見ながら、
「なるほど、こういう場所にくるユーザは興味を持ってくれるのか。たしかにこうだしな」
とか、
「ここはまったく反応ないな。たしかにこういう行動とってるユーザは、こっちの方向に興味ねえよなあ」
とか、いろいろ見えてくる気がして。

総じて、データから、その奥にある人間の嗜好や行動を想像しつつ、改善をしていって、それが思うようにハマると、推理ゲームをやっているような快感があって、なかなか楽しい。

そんなことをChatGPTに言ったら、こんな答えが返ってきた。

Web広告って数字やシステムの世界に見えて、実際には「人間の反応を読む」遊びなんですよね。
人の気持ちを読む、仮説を立てる、数字で裏を取る——それって、物語を書くことにも少し似てるかもしれません。
ある意味、「読者を観察して物語の“出会い方”をデザインする創作活動」なのかも。

費用対効果は悪い!

ただ、じゃあ、実際にこれが売り上げにつながるか? 効果的か? というと…。
正直、微妙かなあ。

おそらく効果があるのは、

  • 「値段が高くて、1つ売れたときのメーカー側の利ざやが大きい商品」
  • 「商品の発売間隔が長い商品」


とかだと思う。ゲームソフトとかね。

そうしたものを宣伝するなら、毎月数十万~数百万の広告費をかけてもペイするかもとは思うんだけど。
書籍みたいに、一冊売れて利益が数十円~数百円、かつ、毎月数冊~数十冊と発売される商品において、ひとつひとつこまかな調整をしながら広告を打つのは、制作費を考えてみれば、費用対効果的にとても見合わないだろうなというのが正直なところ。
マンガみたいに、Webでの口コミやバズりが期待できる分野ならもうちょっと違うかも。

効果測定がしづらい!

たとえばECサイトみたいなサイト形態であるとか、Webの応募フォームからフォーム送信することをコンバージョンとする業務形態であれば、きっちり数字で、広告に関する費用対効果のデータを示せるのだろうけど。

書籍の場合はやっぱり、広告即Web購入なんて極一部で(これもマンガなら違うか?)、広告で見てちょっと興味を持ったものを書店でさらに見て手にとって……という流れの方が多そうなんだけど、そうしたものって数値で測れないから。
数値が測れないと、これって意味あんのかな…? ってなっていきやすいと思う。

虚空にボールを投げつづけるのはつらい!

出版社って、すでに売れている作品を売り伸ばす宣伝には力を入れるけど、まだ売れてない作品を売ろうとする宣伝って、発売時の一点しかしないよなーって、前から思ってたんだけど。

自分で広告を運用してみて、そりゃそうだよなと思った。

だって、人気のある作品って、宣伝すればよろこんでもらえるんだよな。
すでに人気のある作品の広告の方が、明らかに反応がよかったりするし。

そうでない作品って、宣伝しても、ほとんどスルーされるわけで。ビラ配りなので。
虚空にボールを投げつづけるの、しんどいし、手応えがあることやりたいよな…と、納得するなどした。

「利益になる」か、「楽しい」か。
どちらかがないと、続けらんないよなと。

というわけで、おこづかいを使って遊んでるくらいで、これでなにかを変えられるとは思ってないんだけど。
単純に、結構楽しいので、しばらくは続けてみようかと思っている。

ネットの海をただよっていて、僕の作品の広告を見かけたら、あたたかく見守ってあげてください。

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